【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第110話】

2024年7月20日のことであった。

あいつとの結婚生活が破綻したアタシは、札幌市東区北7条にあるマンスリーマンションに移り住んだ。

バイトは、知人からの紹介で地下鉄北12条駅の近くにあるガソリンスタンドで働くことにした。

足りない分をおぎなうために、JRあいの里教育大駅前にあるファミマでバイトすることにした。

2つをかけもちでバイトで稼いだおカネをためて、札幌を出て本州か海外へ逃げようと訣意《けつい》した。

アタシに去られたあいつは、会社を無断で欠勤したあげくに無気力になった。

家出中のあきとは、今も行方不明になっていた。

その一方で、豊平区内《くない》にあるあいつの家に関する問題が深刻になった。

あいつの家は、アタシの前の前のお嫁さんの実家のコシュが建築費全部を出していたことが明らかになった。

アタシの前の前のお嫁さんの家のコシュは、よりし烈な怒りをあいつに向けた。

アタシは、あいつとの間にできたわだかまりを抱えたまま離婚した。

アタシの乳房《むね》の奥にできた傷は、今もなおも傷んでいた。

2024年7月27日頃であった。

四国高松から武方《たけかた》さんが弁護士さんと一緒に札幌へやって来た。

今回は、ダンナの知人があいつの不満をやわらげるためにむりやり結ばせたことによる再婚であった。

武方《たけかた》さんは、あいつと知人の男性と苫小牧のナイトクラブのチーママを相手取って、兆円単位の慰謝料を請求する裁判を起こすと決意した。

しかし、アタシはそんな超大金なんかビタ一文もいらない…

アタシは何もせずに離婚することを望んでいるから、武方《たけかた》さんの求めには一切応じないわよ!!

さて、アタシに去られたあいつは、会社を無断欠勤をしたあげくに自動的にクビになった。

その後、キッチンドリンカーになった。

かつて、水車町内《ちょうない》に住んでいたご近所さんの人から聞いた話だけど、あいつはアタシに去られた後、近くの酒屋に行って、一升瓶の酒を買った。

その翌日以降、あいつは毎日のように酒を購入していた。

そのあげくに、質屋さんに羽織などの高級品を質入するようになった。

アタシはあいつを救う余力はないから、死にたきゃ死ねばいいのよ!!

時は、8月2日の昼過ぎのことであった。

ところ変わって、札幌市中央区西11条にある裁判所にて…

武方《たけかた》さんは、アイツとアイツの知人たちを相手取って、兆円単位の慰謝料を請求する民事訴訟を起こす手続きを取った。

裁判所は、武方《たけかた》さんの申し出を受理した。

その後、裁判所はアイツとアイツの知人たちとアイツの兄夫婦を呼び出した。

本格的な裁判を始める前に、今回の民事裁判の争点整理を始めた。

裁判所に来ていたのは、武方《たけかた》さんと弁護士さんとアイツとアイツの知人たちとアイツの実家の兄夫婦であった。

アタシは、出廷拒否したのでこの場にはいなかった。

武方《たけかた》さんは、ものすごく怒った声であいつとあいつの知人たちとあいつの兄夫婦に『覚悟しておけ!!』と怒鳴りつけた。

こうして泥沼の民事裁判《りこんさいばん》が始まった。

しかし、武方《たけかた》さんはアタシが裁判所に来ていなかったことをひどく心配した。

その日の夜のことであった。

武方《たけかた》さんは、JRあいの里教育大駅前にあるファミマにやって来た。

武方《たけかた》さんはアタシに対して『どうして裁判所に来なかったのか…』と女々しい声で言うたので、アタシは思い切りしらけた。

アタシは、ゴミ箱の整理をしながら怒った声で武方《たけかた》さんに言うた。

「武方《たけかた》さん…アタシは超大金《カネ》で問題を解決することは一切望んでいないのよ!!アタシは裁判所からの呼び出しにはコンリンザイ応じないわよ!!そんなくだらん裁判をやめて高松へとっとと帰ってよ!!」
「とし子さん、こっちはものすごく困っているのだよ…裁判所の人がとし子さんの言い分を聞きたいから、来週の火曜日に裁判所に来てくださいと…」
「はぐいたらしいわね!!なんでアタシが裁判所に行かないといかんのよ!?」
「どうしたいって…とし子さんの言い分を聞かないと裁判ができないのだよぉ…」
「イヤ!!拒否するわよ!!アタシが言い分を言うても、司法はアタシが全部悪いと言うに決まっているわよ!!」
「いや、裁判官はとし子さんの今の気持ちが知りたいんだよ~」
「うるさいわね!!司法はアタシを悪者にしているから信用できない!!」
「どうしてそんなことを言うのかな…今回はダンナの知人が再婚を強引に進めたことが原因でゴタゴタが起こったのだよ…私はとし子さんを助けたいんだよ〜」
「それでもイヤ!!まっぴらごめんだわ!!」
「とし子さん、裁判所に行かなかったら困るのはとし子さんなのだよ…」
「だから!!どういうところが困ると言いたいのよ!?はぐいたらしいわね!!アタシは裁判所に行かないと言ったら行かないわよ!!」
「とし子さん、私は財産分与などのことがあるから言うてるのだよ!!」
「アタシはあいつの家の財産はびた一文もいらないわよ!!」
「財産のことは二の次でいいから、その前にまずとし子さんがあきひろさんに対しての言い分を伝えないと…」
「イヤと言うたらイヤ!!…それよりもアタシは、あんたが勝手に裁判を起こしたことを怒っているのよ!!勝ち目のない裁判を起こしてイタズラに時間を費やして何がしたいのよ!!あんたね、来週の火曜日に裁判所に行った時に裁判所の裁判官に土下座して裁判を取り下げてくださいとお願いしてよ!!」
「裁判を取り下げるだと!?」
「当たり前でしょ!!それよりも人の職場に居座らないでよ!!居座る気でいるならば店長呼ぶわよ!!」
「居座る気はないよぉ…」
「だったら、今すぐに帰んなさいよ!!」
「このままでは帰れないのだよぉ…」
「帰んなさいよと言ったら帰んなさいよ!!」
「とし子さん、このままでは帰れないのだよぉ…弁護士さんから頼まれて、とし子さんを説得してくださいと…」
「帰んなさいよと言っても帰らないのね!!」
「帰りますよぉ…とし子さんが裁判所に行くと言えば帰りますよぉ…」
「イヤ!!拒否するわよ!!アタシは思い切りキレたわよ!!アタシ、あんたと一緒にやって来た弁護士は田嶋《たじま》と対立しているヤクザの顧問弁護士と聞いたからものすごく怒っているのよ!!裁判所へ行けと言うのであれば、アタシは田嶋《くみちょう》さんの顧問弁護士と一緒に行くから…顧問弁護士の男とアタシの愛人のチンピラ10人連れて裁判所へ行くわよ!!覚悟しておきなさい!!」

武方《たけかた》さんは、恐れをなしてその場から逃げ出した。

アタシは、あいつの家に対する怒りをさらに高めた。
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