【一気読み改訂版】とし子の悲劇
遺恨の破砕波(おおつなみ)

【第114話】

札幌《きた》での暮らしに疲れてボロボロに傷ついたアタシは、2024年8月30日に再びあてのない旅に出た。

旅に出てから4日目に、東京にたどり着いた。

しばらくの間、高田馬場《たかだのばば》のアパートで暮らしている友人(高松のデリヘル店で仲良しだったコ)の部屋に滞在していた。

その後、友人からの紹介で横浜伊勢佐木町《はまのいせさきちょう》のマダムズバーに入店した。

アタシは、恋人を作って結婚したいと気持ちは全くない…

9度も嫁ぎ先の家でゴタゴタばかりを起こしたあげくに嫁ぎ先の家庭《いえ》をこっぱみじんにぶち壊した。

だから10度目の再婚なんか絶対にイヤ!!

アタシ…

男なんかダーーーーーーーーーーーーーーーーイキラーーーーーーーーーーーイ!!

時は流れて…

2025年のゴールデンウィークが明けてから3日後の5月8日の夜のことであった。

この時、うちの店の会員さんの46歳の男性が学生時代の友人4人を連れて鎌倉からお越しになられた。

(とし子が働いているマダムズバーは、会員制である)

男性の名前はきよひこさんで、ゴールド会員のお客様であった。

アタシは、いつものように会員さまにお出しする水割りを作っていた。

アタシが水割りを作っている間、きよひこさんは友人たちにグチをこぼした。

「困ったな…どうすればいいのだよ…」
「また始まった…きよひこの困ったな…が。」
「お前さんのシングルの弟のことだろ…お前さんのシングルの弟は、いつまで一人身でいるのかな~」
「いつまでって…気持ちが変わるまで…」
「気持ちが変わるまでと言うけど…お前さんのシングルの弟は38歳だね…いいかげんに嫁さんのことを考えてやれよ。」
「そうは言うけど、実際は難しいのだよ…」
「あのな、39歳までにコンカツを始めないと条件が悪くなる…もとい…少しだけど条件が悪くなるのだよ。」
「何だよ!!オレをおどす気か!?」
「おいきよひこ、落ち着けよ…せっかく楽しくお酒のんでいるのにゴタゴタを起こすなよ…おいニシノ!!オドレも酒の席できよひこを怒らせるな!!」
「何だと!?オレは悪気があって言うたわけじゃないのだよ!!何でオドレはいちいちいちいち目くじらを立てるのだよ!?」

この時、一緒の席にいたチーママさんが『まあまあ。』と言うて止めた。

「まあまあ、おちついて…お酒をのんでいるときは大学時代の楽しい思い出の話をしたらどうかなぁ…ねえとし子さん…」

チーママさんからの問いに対してアタシは『ええっ…』と気乗りしない声で答えた。

この時、アタシは10度目の再婚の話が来ると言うことはないだろうと思った。

…が、どういうわけかまたアタシに縁談《ハナシ》が入った。

アタシはイヤと言うてるのに…

なんで勝手に縁談《ハナシ》を入れたのよ!!
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