【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第22話】

義妹《いもうと》がレイプ殺人事件で亡くなった事件を境にして、あいつの家庭《いえ》は大きくかたむいた。

アタシは、今度こそは女ひとりで生きて行こうと訣意《けつい》を硬《かた》めた。

何がなんでも、生きて行くためにはお金を貯めなければ…

アタシは、さらにたくわえを作るために高松市内のデリヘル店で働くことにした。

デリヘル店は、空いている時間を利用して行くことにした。

その一方で、国分寺町の森林公園で発生したレイプ殺人事件であらたな進展があった。

容疑者だった義妹《いもうと》のカレシはショウコ不十分で釈放された。

鑑識があらためてDNA鑑定をした結果、恐ろしい覆面に付着していたDNAとカレシのDNAは一致しなかった。

このため、捜査はゼロからやり直しとなった。

義妹《いもうと》のカレシは、釈放されたが手痛いしっぺ返しを喰らったようだ。

せっかく就職できた会社をクビなった…

父親のクレジットカードを勝手に使ってオンラインゲームをしていたことが両親にバレた…

そのまた上に、ヘルス(風俗店)の店長が家に怒鳴り込んできた。

カレシが女に対して本番行為《ほんばん》を強要したことも親にバレた。

カレシは、両親から京大卒《キョーダイソツ》の兄と比較された上に、どぎつい言葉でボロクソになじられた。

カレシは、ジボウジキにおちいった。

2016年7月6日の夜のことであった。

義妹《いもうと》のカレシは、両親とひどい大ゲンカを起こした末に家出した。

その後、ことでん片原町駅の裏手にある酒場街に行った。

ところ変わって、酒場街にある小さな居酒屋《ノミや》にて…

テーブルの上には、瓶ビール2本と脂ぎったおつまみ5点が並んでいた。

義妹《いもうと》のカレシは、ぐでんぐでんになるまでどぎついお酒をイッキのみした。

義妹《いもうと》のカレシは、自分がのんでいた酒がなくなったので、となりに座っている男性客《きゃく》の瓶ビールを勝手に取ろうとした。

それが原因で、トラブが発生した。

「何するのだよ!!人のビールを取るな!!」

この時、右側の席に座っていた男性客《きゃく》がカレシに怒鳴りつけた。

義妹《いもうと》のカレシの右側の席に座っていた客は、桂一郎さんだった。

桂一郎さんは、義妹《いもうと》のカレシが勝手に瓶ビールを取ろうとしたので思い切りブチキレた。

「コラオドレ!!人がのんでいるビールを勝手にのむな!!」
「何だよぉ…オレはのみたいのだよぉ。」
「ふざけるな!!人が注文をしたビールを勝手にのむなといよんのが聞こえんのか!!」
「かんべんしてくれよぉ…」
「ふざけるなよ!!オドレぶっ殺してやる!!」
「やるのか!?上等だ!!」

このあと、桂一郎さんと義妹《いもうと》のカレシが裏の露地でドカバキの大ゲンカを起こした。

そして…

(ガーン!!)

「グワー!!」

義妹《いもうと》のカレシが、桂一郎さんに15センチの横キンブロックで頭を思い切り殴られた。

その後、桂一郎さんは義妹《いもうと》のカレシをシツヨウにけり続けた末に、サバイバルナイフでズタズタに切り裂いて殺した。

日付が変わって、7月7日深夜2時過ぎであった。

香川県警《けんけい》のパトカー20台が現場の付近に止まっていた。

現場では、50人の捜査員たちによる現場検証が行われた。

義妹《いもうと》のカレシの遺体は、激しく損傷していた。

鑑識警察官たちは、現場に残されていたショウコなどを探した。

しかし、ショウコを発見することはできなかった。

ところ変わって、現場から数百メートル先にある露地にて…

桂一郎さんは、体をまるめて震えていた。

恐怖で立ち上がることができなかったようだ。
< 22 / 135 >

この作品をシェア

pagetop