【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第43話】

ダンナからどぎついレイプを受けて心身ともにボロボロに傷ついたアタシは、高松市宮脇町《しないみやわきちょう》にあるマンスリーアパートに移り住んだ。

アタシは、ダンナと離婚することを前提に別居することにした。

ファミマのバイトは県庁前通りの店舗に移って続けるが、ガソリンスタンドはダンナの職場(済生会病院)の圏内に入っていることを理由にやめた…

そのために、高松市内のデリヘル店に入店してかけもちでバイトすることにした。

アタシは、ダンナとやり直す気持ちは全くないので話し合いなんかしないわ!!

ほのかさん母子が殺された事件から数日後の午後であった。

ところ変わって、坂出市福江町にあるほのかさんの実家にて…

実家では、ほのかさんと赤ちゃんの告別式が執りおこなわれていた。

葬儀に参列をした人たちは少人数であった。

ほのかさんの弟さんは、事件を起こした張本人であることと悪い人間ばかりに寄りかかっていることなどを理由にお葬式をあげなかった。

『悪魔(ほのかさんの弟)が死んだからせいせいしたわよ。』
『悪魔の子の遺骨は、ゴミ処理工場に棄てられる運命よ…』
『ザマアミロバーカよ…オーッホッホッホー〜』

家の居間で、出席していた親族たちがほのかさんの弟さんの悪口をボロクソに言うていた。

アタシは、遠くからほのかさんの家の親類縁者たちを鋭い目つきでにらみつけた。

そんな時であった。

ほのかさんの実家に、白髪頭《しらが》でひげ面の60代の男性が突然やって来た。

男性は、ほのかさんと赤ちゃんの祭壇の前に座って、お経を唱えた。

それを聞いた親族の男性が、あわてて止めた。

「あのー、部外者はお帰りくださいませ!!」
「部外者とは失礼な…ワシは、仏生山《ぶっしょうざん》の武方《たけかた》の家のもんから、ほのかさんの実家の後見人《こうけんにん》を引き受けてほしいと頼まれたのじゃ…」

男性は『ほのかさんの実家の後見人を頼まれた…』と親類縁者たちに言うた。

それを聞いた出席者のみなさまがひどく動揺した。

ほのかさんの実家は、ふたりの姉が子供さんを連れてダンナと離婚をすることを前提に別居中であった。

それに加えて、妹さん4人が会社をやめることを前提に県外から実家に戻った。

実家に出戻った6人の姉妹は、離婚することと職場をやめることを決意した。

なので、家庭内の問題がさらに深刻になった。

だから、武方《たけかた》さんが後見人を立てた…と言うことだ。

それを聞いたアタシは、ますますわけがわからなくなった。
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