【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第67話】

さて、その頃であった。

アタシは、空いている時間を利用してあいつの家へ行った。

家の中にて…

アタシは、家に残っている着替えとメイク道具を取り出したあとGUのロゴ入りの紙袋に詰め込んだ。

早いうちにあいつと離婚しなければ…

ここ数日の間に、じゅんきとあいこちゃんの周辺で怪事件《じけん》が多発した。

もしかしたら、アタシにも魔の手が及ぶ恐れがある…

そう思ったアタシは、ひどくあせっていた。

それから2時間後であった。

(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…テーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテー…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

アタシは、赤茶色のバッグと着替えとメイク道具がぎっしりと詰まった紙袋を持って、ことでん羽間駅から電車に乗って高松市内へ向かった。

武方《たけかた》さんはふざけているわよ…

何が『お父さんは、アタシの花嫁姿が見たい…』よ…

武方《クソジジイ》は根からのダンソンジョヒ主義者だから、いつぞやぶっ殺してやる!!

アタシの中に蓄積されていた怒りは、大爆発を起こす一歩手前になったようだ。

それから2ヶ月後の8月10日頃であった。

アタシは、高松市内のデリヘル店とローソンを掛け持ちでバイトする日々を送っていた。

この2ヶ月の間、目だった動きはなかった。

今度こそは、おだやかに過ごせる…

…と思っていたら、またいらんゴタゴタが発生した。

この日、アタシは夜通しデリヘル店に滞在していた。

ところ変わって、宮脇町のマンスリーマンションにて…

アタシは、下着姿で朝寝をしていた。

(ピンポーン…ピンポーン…)

この時、玄関のベルが鳴った。

ベビーピンクのブラジャー・ひもショーツ姿のアタシは、下着の上から白のブラウスをはおったあと玄関のドアを開けた。

(ガチャッ…)

ドアの向こう側に、あいこちゃんがいた。

「あいこちゃん…一体どうしたのよ?」

アタシは、おどろいた声で言うた。

あいこちゃんは、ものすごく悲しい表情でアタシに言うた。

「とし子さん、今日はとし子さんに大事なお話がしたいので、ここに来ました。」

アタシは、部屋の中にあいこちゃんを入れた。

部屋の中にて…

あいこちゃんは、泣きそうな表情で妊娠していたことをアタシに打ち明けた。

「妊娠…本当なの!?」
「うん。」
「あいこちゃんのお母さまは、あいこちゃんが妊娠していたことを知っていたの?」
「うん。」
「赤ちゃんの父親は、誰か分かっているの?」
「うん。」
「(不安げな声で)もしかして…」
「とし子さんの言う通り…です。」
「まさか、例の集団レイプ事件であいこちゃんを犯した男のこども…なの?」
「言わなくてもわかるでしょ!!」

あいこちゃんは、叫び声をあげたあとアタシに抱きついてくすんくすんと泣いた。

「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
「あいこちゃん。」
「アタシ…中絶《おろ》したい…レイプ魔の子どもなんか…生めない…」
「そうよ!!今すぐに中絶《おろ》しなさいよ!!手遅れにならないうちに…」

アタシは、あいこちゃんに対して中絶手術を受けるようにと伝えた。

しかし、あいこちゃんは『できない!!』とアタシに言うた。

アタシは、ものすごく困った声であいこちゃんに言うた。

「あいこちゃん!!気をしっかり持ちなよ!!足元を見られていることに気づきなよ!!」
「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…あのね…おかーさんは結婚相手を見つけるから、赤ちゃん産みなさいと言うたのよ…アタシ…イヤ!!結婚なんかイヤ!!…アタシをレイプした男たちの正体が分からない…心身ともにズタズタに傷ついているのよ…おかーさんは、女の幸せは結婚して子を産み育てることしか知らないのよ!!…アタシ…女の幸せなんかいらない!!…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」

今の気持ちを全て伝えたあいこちゃんは、アタシの乳房《むね》の中で激しく泣きじゃくった。

アタシは、泣いているあいこちゃんを乳房《むね》に抱きしめるより他に方法はなかった。
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