【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第74話】

そして、あいつの実家は家庭崩壊へ向かって突き進んだ。

あいこちゃんは、関西国際空港から飛行機に乗って韓国へ向かった。

韓国で暮らしていたカレとインチョン国際空港で合流したあと第三国経由でどこかの国へ向かった。

それ以降は、音信不通になったようだ。

また、その一方であらたなもめごとが発生した。

高松市仏生山町《しないぶっしょうざんちょう》の武方《たけかた》さんの家にこうきが新しい女《レコ》を連れてやって来た。

新しい女《レコ》は、キャバ嬢であった。

こうきは、武方《たけかた》さんのオシュウトさんとオシュウトメさん夫婦と奥さまの３人に対して『婚姻届の保証人になってください…』と頼んだ。

武方《たけかた》さんのオシュウトさんは『ホーデホーデ…』と過度にやさしい声で言うたあと、婚姻届の保証人の欄にショメイナツインした。

この時、武方《たけかた》さんは家に不在であった。

それから３時間後であった。

こうきとキャバ嬢は、坂出の市役所の窓口に婚姻届けを提出した。

市役所の職員は、にこやかな表情で『おめでとうございます。』と言うた。

ふたりは、ニヤニヤした表情を浮かべていた。

この時、武方《たけかた》さんがその時の様子を見たのでひどくオタついた。

武方《たけかた》さんは、大急ぎでアタシがいるローソンへ向かった。

この時、アタシは休憩時間であった。

アタシは、店外に設置されている灰皿の近くでメビウスのメンソール（紙たばこ）をくゆらせながらサントリーＢＯＳＳ（缶コーヒー）をのんでいた。

その時であったが、店の従業員さんがアタシを呼びに来た。

アタシを呼びに来た従業員さんは、『大至急事務所に来てください…』と言うた。

アタシは、灰皿にたばこを入れたあと店の事務所へ行った。

ところ変わって、事務所にて…

事務所には、武方《たけかた》さんとアタシのふたりがいた。

武方さんはアタシに対して『あいこちゃんがどこへ行ったか知らないか？』と聞いた。

アタシは、怒った声で『知らない!!』と答えたあと武方《たけかた》さんに対してボロクソに言うた。

「あんたはねちこい(しつこい)わね!!アタシはこうきとギャバの女が婚姻届を出したことについてはどーでもいいのよ!!アタシは今も、あんたのことで思い切り怒っているのよ!!」
「とし子さん、こうきのバカヤローがうちの嫁さんと義父母に婚姻届の保証人を引き受けたと聞いたのでひどく困っているのだよ…」
「それがどうしたのよ!?あんたが困る理由はなにかをわかるように説明してよ!!」
「だから、こうきのバカヤローはうちに多大なメーワクをかけていたのだよ〜…」
「あのね、あんたの泣き言はもう聞きあきたわよ…だから、もう帰ってよ!!」
「とし子さん、私はあいこちゃんを助けたいんだよ!!」
「帰ってといよんのが聞こえないのダンソンジョヒ主義者!!」
「このままでは、帰ることができないんだよぅ〜」
「ますますはぐいたらしいわね!!もう怒ったわよ!!」

思い切りブチ切れたアタシは、制服の上着を脱いだ。

「なにするんだやめろ!!」

武方《たけかた》さんは、アタシに対して落ち着けと言うた。

しかし、アタシは下に着ていた白のブラウスを思い切り破いた。

（ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!）

破れたブラウスの中からワコールのランファンの白のブラジャーがあらわになった。

アタシの両肩と左腕とデコルテラインに、龍のウロコの刺青《すみ》が彫られていた。

それを見た武方《たけかた》さんは、ひどくおびえまくった。

「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ～」

アタシは、ものすごく恐ろしい声で武方《たけかた》さんをイカクした。

「あんたはあいこちゃんを助けたいといよるけど、キレイゴトばかり抜かすな!!」
「ゆ、許してくれ〜」
「帰りなさいよ!!帰らないとあんたをふみつぶして殺すわよ!!ブイブイみたいにつぶすわよ!!」
「た、助けてくれ〜」

アタシにイカクされた武方《たけかた》さんは、叫び声をあげながら事務所から逃げ出した。

アタシは、冷めた目つきで武方《たけかた》さんを見つめていた。