雪降る夜はあなたに会いたい 【上】

「こんな高価なもの……」
「どんな宝石を探してきたところで、雪野の価値には見合わない。でも、自分で稼いだ金で、どうしても雪野に贈りたかった」

光を受けた場所から煌めきを放っていくダイヤモンド。煌びやかなダイヤモンドが載った自分の指が、誰か別の人のものに見える。

「俺が人生を共にしたい人は、おまえ以外にいない」

手を包み込むように握られて、まじまじとその指輪を見る。大きなダイヤモンドを囲むようにアメジストの石が並んでいた。

「これ……私の誕生石?」
「そうだ。今日は、雪野の誕生日でもあるからな」

既に涙で溢れかえっているのに、更に溢れようとする。

「――二年後、必ずこの指輪を左手薬指にはめさせる。正式にプロポーズするその日まで、俺を見ていてくれ」

涙でまみれているであろう顔で、何度も大きく頷いた。

いつか終わる――そういう恋だと自分に言い聞かせて来た。

これまで二人で過ごした時間が走馬灯のように頭を駆け巡る。

 もう一度創介さんが私を抱きしめた。

「雪野に、俺を選んだことを後悔させないことが、俺のこれからの生きる目的だ。どんな困難もおまえがいれば耐えられる。雪野を幸せにすることに俺の人生を捧げるよ」
「……私も。創介さんを幸せにしたい」

きっと、もっと平凡な人生があるのかもしれない。穏やかに暮らしていける人生を選べたのかもしれない。

でもどんなに辛くても創介さんといることを選んだ。

 私には、創介さんに対する想いに絶対の自信がある。

恐れずに創介さんとの未来を信じて行きたい。


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