大切なもの
春香の場合


春香は会社の勤めを終え、帰宅した。


もう何年も前から住んでいるアパートは、学生ばかりで春香の様な社会人は少ない。


学生が住めるアパートなので家賃は格安であるが、セキュリティは万全ではない。


「学生が煩いし、そろそろ引っ越そうかしら…」


春香が自室の鍵を差し込みながら呟いた。


「今晩は。」


部屋に入ろうとすると声を掛けられた。


春香の隣に住む学生だ。


背が高く痩せ形。

特徴的な所はない、どこにでも居そうな大学生風な男性。


春香は何度か、部屋の前で声を掛けられた事があったが返事をするだけだった。

「今晩は。」


軽くお辞儀をして部屋に入った春香は溜め息をついた。






< 51 / 78 >

この作品をシェア

pagetop