アンコール マリアージュ
「ん、娘さん夫婦の為の挙式?それって、サプライズって事?」
「はい」

久保に相談しようと、真菜は一旦オフィスに戻り、今聞いたばかりの内容を説明する。

田辺夫妻の娘は、高校3年生の冬に妊娠したのだそう。
相手は同じ学校の同級生、つまり18才同士だった。

二人とも大学に進学が決まっていたが、親や周囲の反対を押し切り、大学は諦めて結婚、出産した。

そんな二人も、今は22才。
その時に産まれた男の子も、3才の可愛い盛り。

最近では、どうしてあの時、あんなに反対してしまったのだろうと、両親は悔やんでいるのだそうだ。

「私達が反対したばかりに、二人とも結婚式も挙げず仕舞いで。出産も誰にも頼らず、出産費用も二人でバイトで貯めたお金を充てて…。悪かったなって、後悔してるんです。あ、今はもう関係は良好で、あちらのご両親とも仲良くやってるんですけどね。ドレス姿の写真も、撮らせてあげたいわねって、あちらのお母様も仰ってくれて…。身内だけで、こじんまり挙式出来たらなーと。そういうのって、お願い出来ますか?出来れば、本人達には当日まで内緒にしておきたいんですけど」

真菜は、これまでにもそういった対応をした事があり、可能だと説明した。

やり方としては、当日、皆で外で食事でもしようと二人を連れ出し、ここに連れて来てもらう。

そして、ブライダルフォトをプレゼントしたいからと言って、二人に衣裳に着替えてもらうのだ。

ヘアメイクを済ませ、では写真スタジオに移動しましょうと言って、スタジオではなくチャペルに案内し、扉を開けた途端、列席者が拍手で迎え、式が始まる、という流れだ。
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