アンコール マリアージュ
「真菜」

待ち合わせした桜木町の駅前に着き、辺りをキョロキョロしていると、後ろから名前を呼ばれて振り返る。

真が軽く手を挙げて、近付いて来るのが見えた。

「おはよう。待たせたか?」
「おはようございます。ううん、私も今来たところです」
「そうか、じゃあ行こう」
「はい」

並んで歩き出すと、真菜はちらりと真を盗み見る。

爽やかなブルーのシャツに、白いチノパン、足元は、なんだかお洒落なスニーカーだった。

(わー、こんな格好の真さん、初めて。素敵だなー)

思わず顔がニヤけてしまう。

「それで?まずはどこに行くんだ?」

歩きながら真が真菜に聞く。

「あ、はい!まずはですね『付き合う前の、まだデートとは呼べないお出かけスポット』です」

バッグから取り出したメモ帳を見ながらそう言う真菜に、真はぶっと吹き出した。

「…何か?」

真菜が冷ややかな目を向けると、真は慌てて真顔になり、いえ、何も、と真剣に頷いた。
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