アンコール マリアージュ
だが、女の子の足では逃げ切れるはずもない。

数メートル先で真菜に追いつくと、真は腕を掴んで振り向かせた。

「真菜!どうしたんだ?話してくれなきゃ分からないだろ?」

逃れようとする真菜を、胸に抱き留める。

真菜は、目に涙を溜めながら、真の胸を叩いてきた。

「どうして?どうして真さんは覚えてないの?!私だけ?私だけが覚えてて、真さんはなんとも思ってなかったって事?真さんにとっては、あんなの、どうって事なかったのね!」

えっ、一体何の事を…

真が呆然としながら手を緩めた隙に、真菜は真の腕から逃れ、今度こそ走り去って行った。
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