アンコール マリアージュ
一体何をするつもりですか?!
「やあ、真菜さん。こんばんは。仕事終わりに呼び出してすまないね」
「いえ、とんでもない。こちらこそ、わざわざ横浜までお越し頂き、ありがとうございます」
「いや、礼には及びません。ちょうどこちらに仕事で来ていてね。さあ、どうぞ座って」
「はい、失礼致します」

にこやかに社長と挨拶をしてから、真菜はスタッフが引いてくれた椅子にゆっくりと座る。

窓の外には綺麗な夜景が広がっていた。

(すごーい、確か68階だっけ?もはや天空のレストランね)

「申し訳ないね。社長と食事なんて、楽しくも何ともないだろうけど、真のやつが、いつまで経ってもあなたをお誘いしないもんだからね」

そう言って社長は、真菜の隣に座る真を見た。

真は返す言葉もないように、うつむいている。

「やれやれ、一体どうしたもんだか。その様子では、真菜さんにきちんとお礼も言ってないのだろうな」
「は、いや、あの」
「真菜さん、すまないね。こいつときたらもう、最近なんとも覇気がなくてね」

いえ、そんなと、真菜は首を振ってうつむく。

雑誌の反響がようやく落ち着いてきた10月。
真菜は社長から、みなとみらいのホテルに食事に誘われてやって来た。

テレビと雑誌のおかげで、アニヴェルセル・エトワールは一気に知名度を上げ、社長がテレビのインタビューを受ける事も何度かあった。

求人にも影響があり、中途採用の社員も何人か、フェリシア 横浜に配属され、真菜も忙しさから少し開放されていた。
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