アンコール マリアージュ
「はい、どうぞ」

ソファに座る真菜の前に紅茶を置くと、真も隣に腰を下ろした。

「ありがとうございます。はあ、美味しい」

紅茶を飲むと、真菜はふうとひと息つく。

「本当に良かったのか?その…、今日の話」

コーヒーを飲みながら、真菜に聞いてみる。

「ええ。社会的には間違っているでしょうけど、私はどうしても、新婦様を憎めないんです。だって、もう何度も打ち合わせをしてきて、お二人に幸せになって欲しいって、ずっと考えてきたんですもの。それに、新婦様が新郎様のことを本当に好きなのを、私は知っています。今回は私に間違った気持ちをぶつけてしまったけれど、これからは真っ直ぐに正直に、新郎様に好きって気持ちを向けて欲しいな」

そして真に、自信なさそうに聞いてくる。

「こんな考え、甘いですか?」

真はふっと頬を緩めた。

「いや、いいんじゃないか」

そう言うと、真菜はホッとした様に微笑んだ。

「お二人、ちゃんとお話出来てるといいな」
「ああ、そうだな」

真も真菜に微笑んだ。

「それと、真さん」
「ん?何だ」
「私を守ってくれて、ありがとうございました。手紙が届いたのに黙っていたのは、私を不安にさせないためでしょう?」
「いや、それは、まあそうだが。別に大した事ではない」
「ううん。それに、それだけじゃない。いつも守ってくれて、本当にありがとうございます」

瞬きしたあと黙って目を逸らす真に、真菜はもう一度微笑んだ。
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