これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




「桜乃……」


「あ、あのね、ともちゃんに秘密にしたくてしてるとかじゃないんだよ…?
もちろん言えないことはあるけど…、自分の力でやってみたい私もいて、だからっ」


「ごめん!!!」


「……え?」



すると今度は謝ってくる。


勝吾くんのことも、ともちゃんにすら言えなかった三好くんのことも。

謝らなければいけないのは私のほうなのに…。



「私…桜乃のそういう気持ち考えもしないで……、スパイ送り込んだ」


「……へ?」



すぱい……?

頭がどんどん混乱していく私に、ともちゃんはスマートフォンを操作。


そして腕を引かれるまま連れていかれた近所の公園に立っていたのは。



「どうも、スパイです」


「あ……どうも、です」



それはまさかの、夏休みからキッチンスタッフとして加わった───伊武くんだった。



「い、伊武くんは……スパイ、だったの…?」


「スパイだったのっていうか、まあ、友果から頼まれてそこのバイトに決めたのは本当」



どういう関係なんだろう…?

おふたりさんはお知り合いで…?



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