これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
もうひとりの彼氏
「え、シフトを増やしたい?」
「はい。週2日なので、もう少ししたいかなって…」
「あー…、じゃあちょうど切り替わりだから、来週から週3で組んじゃっても平気?」
「はい。大丈夫です」
「…助かるなあ。じゃ、お疲れさま」
「お疲れさまでした。お先に失礼します」
全国にチェーン店を構えるファミリーレストラン。
私がここでアルバイトを始めたのは、去年のことだった。
高校1年生の9月頃。
とくに自分のために使えるお小遣いを増やしたいとか、そういった理由ではなくて。
それは学生生活で大きく変わったものがあったからだ。
「バイト終わったよ、…と」
平日は学校終わりの放課後、17時から21時。
来週からは土日のどちらかの日中もシフトを入れてもらえることになった。
家から徒歩圏内で通えるファミレスを出て、線路沿いに沿って街灯の下を歩くなかでメッセージをひとつ。
「……今日きたら嬉しいな」