これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




本当は違うような気がして違和感しかなかったけれど、肯定した。

デートなんかじゃない。
プレゼントお渡し会なだけ。


でもせめてここでくらいは優位に立つ気分を味わわせて欲しかったから。


そんなちっぽけで、あわれな、対抗心。



「ならならっ、4人でダブルデートしません?」


「おい、セレ───高田、」



勝吾くん、お願いだからもう何も喋らないで。

きっとボロを出さない自信なんかないでしょう…?

今だって確実に名前を呼ぼうとしてた。



「桜乃、行こーぜ」


「え~、残念だなあ。谷先輩いつもは優しいのにー」



初めて正面から見た、高田 セレナちゃんは。


びっくりするほど可愛くて、スタイルもよくて、声まで備わっていて。

その声ひとつで男の子たちを引き連れて歩くことができちゃえそうで。


横に立った三好くんとは、誰が目にしてもお似合いだと何歩も引いてしまう。


でも、彼女は勝吾くんのほうがお似合いだと思った。

彼女に三好くんは勿体なさすぎる。


高田さんは、勝吾くんなんかがお似合いだ。



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