乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「ったく…。何か、またブラックが優遇されているような」

休み時間になり、廊下に出たあたしはなぜか…嫌な予感がした。

あたしに続いて廊下に出た十夜は、後を追おうとしたが、後ろから声をかけられて足を止めた。

「十夜…さんで、よろしいのかしら?」

「!」

振り返った十夜の前に、腕を組んだ桂美和子がいた。

「あなたの髪…校則違反よ」

美和子の言葉に、十夜はにやりと笑った。

「それこそ…俺に、相応しい」

そんな十夜に目を細めると、美和子は顎でついてくるように促すと、背を向けて歩き出した。


「フン」

十夜も鼻を鳴らすと、美和子について歩き出した。




2人が来たのは、人気のない体育館の裏。

「なぜ…勝手な行動を取る。あなたに、こんなことを許可した覚えはありませんわ」

美和子は、体育館裏に着くと足を止めた。

「別に、許可を取る必要はないだろ?俺の役目は、乙女ソルジャー達を倒すこと…それだけだ」

十夜はそう言うと、美和子に背を向けて来た道を戻ろうとした。

「お待ちなさい!あなたの行動は、あたし達が管理している!勝手なことが許されると思っているのか!」

美和子の姿が消えた。


「ああ…思っているよ」

十夜の背中に光が走り、切り裂いた。

いや、はずだった。

十夜の姿も消えると、火花が散り、光がぶつかった。


「何!?」

いきなり姿を見せた美和子の手は、鋼鉄の鉤爪になっており、

それを、十夜が握る日本刀が受け止めていた。

「貴様!?いつのまに…これ程の力を!」

「フン」

十夜が力を込めると、美和子は押し戻された。

もといた場所に着地した美和子。

十夜が一振りすると、日本刀は消えた。

「あんた達の思い通りには、動かない。ただし」

そして、ゆっくりと歩き出すと、

「乙女ソルジャーは、俺が倒す!」
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