ジョーになりたかった男(懺悔)

現実逃避

加藤の見舞いの日以来、直樹がジムに顔を出す事はなかった。
新人王2回戦まであと1週間と迫っていた。


直樹は友人の家で酒を飲んでいた。現実から逃げたい。忘れたい。

もう...ボクシングは辞めだ....
直樹はウィスキーをストレートで煽りながら呟く。
しかし、いくら強い酒を飲んでも酔わない鍛えた身体がこんな時こそ恨めしい。飲めば飲む程、思い出される。

最後の右ストレート
改悛の情を燃えたたせていた。

俺の右が弱ければ.....
この拳が弱ければ.....

加藤は傷つくことはなかった.....

この鍛えて強くなったこの拳さえなければ...

ゴン!
ゴン!
ゴン!
ゴン!

右拳にウィスキー瓶を叩きつけた。


やめろ〜!
なにやってんだ!
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