激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
まずは、私を抱いてください。


「……そらちゃん? そろそろ、媒染剤を入れてもいいと思うよ。梔子の染料、十分に染まってるし」

「えっ、あっ、ごめんなさい」


 私は作業台に置いてあるミョウバン媒染剤を入れて、糸をその中に入れて染色をして媒染をして仕上げをする。今からは、お湯が四十度くらいになったら二十分ほど時々かき混ぜながら煮て、それが終わったら水洗いをし染料を洗って、好みの色になるまで何度も同じ作業を繰り返し今度は媒染剤に二十分つけておいてよく水で洗い、日陰で干す……のだけど。

 ぼーっとしていたからかまだ染料が作れたところで止まっていた。最近、穂貴さんのお母様に言われたことが頭から離れない。ただ旧華族だったことを悩んでるんじゃなくて、なぜ穂貴さんは教えてくれないのか……だ。それに子供のことも言い出せないでいるし。
 少しだけ、寝不足だった。


「体調悪いなら休むかい? そこに小さいがソファあるし」

「いえ、大丈夫です……ちょっと考え事を。でも、切り替えます」

「そう? じゃあ、引き続きよろしくね。何か困ったらすぐに言って」

「はい、ありがとうございます……」


 私は気合を入れ直して腕まくりをすると、媒染剤を鍋に入れた。



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