激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



「……では、お待ちください」


 私はエレベーターにお父様と一緒に乗り込んでレストランのある十五階に行き、個室へ案内された。テーブルに椅子が六個並んでいて二人並んで座る。


「……いいか? 今日、来てくださるのはフジノ出版の会長様にその奥様、穂貴くんだ。粗相のないようにな」

「はい……もちろんです」


 緊張はするけど、なんとか頑張ろう。でもどんな男性なのかな……写真とか見ていないからわからないけど、私が童顔だからどう思われるかわからない。顔がタイプじゃないとか言われたらどうしよう、そんなことを考えていると「藤乃様がいらっしゃいました」と部屋の外から聞こえてドアが開いた。


「お待たせしてしまってすみませんなぁ」

「いえっ、滅相もございません。藤乃会長にはもったいないお話をいただきまして……」


 入ってきたのは旦那様と奥様と同じ年代だろう男性と女性に、多分穂貴さんだと思われる男性だった。



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