38年前に別れた君に伝えたいこと

次の日は日曜日で、部屋でくつろいでいると、母親が、僕を呼ぶ声がした、

「圭悟、お客さんだよ」

客? 
階段を降りながら母親に訊いた。

「だれ?」

「白河さん、あんた何かしたでしょ」

「えっ、美幸?」

「なんか元気なかったから、早く行ってやって」

よく此処がわかったものだ、住所は知ってても駅から15分は歩かなければならない。
ろくな地図も無かった時代に、ここまで辿り着くには、あちこち人に道を訊ねながら歩くしかない。

靴を履いて玄関を出ると、すでに彼女の姿は無かった。

玄関を振り返って、
「母さん、美幸何か言ってなかった?」

「手紙を書いたから渡したいって、ひょっとしてまたポストに、、」

慌ててポストを覗くと、確かに彼女の手紙が入っていた。

せっかくここまで来たのに、なんで手紙だけ置いて、、

急いで自転車に跨がり、駅までの道を探した。
しかし、何処にも彼女の姿は見当たらなかった。

僕に見つからないように、違う道を選んだか?
嫌な胸騒ぎが収まらない。

あちこち違う道を探しても、何処にも彼女の姿を見つけることができなかった。

美幸ちゃん、、何処にいるの、

ふと、一本通りを挟んだ向こう側に公園が目に入った。
生い茂った木々に阻まれて道路から中は見えない。
出入り口に回って公園の中を見渡すと、ブランコ横のベンチに彼女の姿を見つけた。

ほっと胸を撫で下ろした、

「美幸ーー!」

彼女は僕の呼ぶ声にびっくりして、そのままその場に泣き崩れてしまった。

近くに歩み寄って、
「探したよ、なんで手紙だけ置いて」
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