ベッドの上であたためて
「Between the Sheetsってお酒知ってる?」

隣の男が唐突に問いかけてきた。
カウンターに片側だけ頬杖をつき、こちらに身体を向けて。
30代後半くらいだろうか。黒の短髪にスーツ姿が爽やかで、営業マンでもしていそうな雰囲気だ。

「私、Brandyが入ってるものは苦手なんです」

へえ、と彼は楽し気に目を見開く。

「詳しいんだ?」
「自分が好きなもの以外は全然ですよ」

言いながらBarbaraを一口飲む。
さっきからあまりメジャーでない名前の酒ばかり飲んでいるから、彼は気になったんだろう。
彼はカクテルにそこそこ詳しいんだろうか。
いや、単に口説き文句としてその酒の名前を知っているだけかもしれない。

Between the Sheetsは、以前別のバーで同じように話しかけてきた男に勧められて飲んだことがある。
キラキラと黄金に光る綺麗なお酒だけど、私にしてみればただ苦くて酸っぱいだけだった。
どちらかと言えば男性向けの味だと思う。

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