ベッドの上であたためて

3.Thing I want

太陽がてっぺんから光を放ち、暑さを増幅させるだけのもわっとした風が身体に纏わりつく。
今日は美月さんの店がちょうど定休日のため、のんびり過ごす平和な一日になるはずだった。

ーー今朝、一本の電話が来なければ。

電車に30分ほど揺られ、目当ての駅へと向かった。
駅前のショッピングビルのファストファッション店に入り、必要なものを購入して店を出る。
冷房のきいたビルから出れば、また暑い空気が身体を覆って憂鬱な気持ちを煽る。

地図アプリを見ながら15分ほど歩き、いかにもという感じの古めかしい7階建ての病院へたどり着いた。
道を挟んだ反対側にはモダンな新しい建物がいくつも立ち並ぶ敷地がある。
多分大学のキャンパスだろう。
道の左右で、片や昭和、片や令和と言ったところだろうか。