ベッドの上であたためて
駅前だけ見れば、広い通りに近代的な商業施設が立ち並ぶクリーンな街。
だけど、細い道を一歩折れれば怪しげな看板がたくさんある歓楽街へと入る。
日中この通りは閑散としているけど、夜になれば派手なライトがあちらこちらから道を照らし出し、途端に人で賑わう。
毎晩のように警察が客引きを取り締まりに来るけど、警察がいなくなればまたキャッチが顔を出す。
いたちごっこに駆り出される警官はかわいそうだなと思う。

酔っ払いと警官が揉めているのを尻目に歩いていくと、古びたホテルがこの街の主のように佇んでいる。
恋だの愛だのという感情を伴って入る人たちはどのくらいいるんだろう。
金を払って女の子を呼ぶ男のほうがよっぽど多そうだ。
この辺りに、派遣型の風俗店の看板はいくつもあるのだから。

< 8 / 90 >

この作品をシェア

pagetop