人間オークション       ~100億の絆~
如月さんの部屋を出ると途端に長い沈黙が流れる。咲月さんは私と話すことが嫌みたいで口さえ開かず歩いていく。

「咲月さん。」
「……。」
「ねえ咲月さんってば。」
「……」

「咲月さーん!」


「……うるさい。お前のような安物が且功の恩恵を受けられるなんて許せない。それどころか麗亜様に劣らない格好だと…?上質なものを着せたら服が腐る。」

「なによ、如月さんの前だと私の悪口少ししか言わないくせに、私の前では堂々というわけ!?」


「俺はお前なんか嫌いだ。」

「私だって嫌いよ!でも仕方ないじゃない。如月さんの命令なんだから。」

「お前なんかいらないのに……なんで且功は100億なんて金額を……。」

「玩具だって言ってたよ、“しつじ”のくせにそんなことも知らないわけ?」

とにかく咲月さんとの言い合いが止まらない。最初はちょっとやり返すぐらいに思ってたけど咲月さん、全然悪口止めてくれないしムカつくし私の口も止まらない。


「麗亜様の前でもしお前が余計なことをしたら処分するからな。」
「処分……ってなに…?」



「そんなことも知らないのか?いらないから捨てるってことだよ。そしたらお前はホームレスだ。」



如月さんに…この家に棄てられたら私はまた野外生活に戻る。別に悲しみも何もない。だけどそれって百合婆ちゃんのところに戻るってこと…?また迷惑と心配をかけることになる。




そんなのダメ。


百合婆ちゃん、優しいからまた私のために毎日杖ついて会いに来る。



「まあ、お前のことだから余計なことをするに決まってるいだろうけどな。まあ、俺が見繕う服を生かすのも殺すのもお前だ。せいぜいがんばれよ。」
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