人間オークション       ~100億の絆~
如月さんの部屋の窓から出てひたすら走る。あれからどれくらい時間がたった…?さっき、麗亜様が乗ってきた車の音が聞こえた。如月さんも私が部屋を抜け出したことに気づいていると思う。

「一休み…しようかな。」

どうせ如月さんは私を追ってこない。きっと私がいなくなって咲月さんも喜んでるはず。

木にもたれかかり空を見上げる。暗い空の中にきらめく星たち。私の心の色と同じ空の色。でも、私の中にはきらめきは…ない。

「命(みこと)―!!命(みこと)、どこにいるー?」


この声…如月さんの声…?

嘘だ、私の聞き間違い。如月さんが私なんかを追いかける理由はない。


「咲月が何を言ったかは分かってる。麗亜の前でお前に恥ずかしい思いをさせて悪かったと思ってる。だけど……お前は、やっと僕が見つけた理想の玩具なんだ。だから、まだいるなら戻ってこい。」



なんて我が儘な主張。謝ってるようで私を遠回しに馬鹿にしているように聞こえる。それに私はそんなことを言われても変わらない。



もう、遅い。遅いんだよ。





「命(みこと)……僕を1人にしないでくれ。」



木の陰から恐る恐る見ると、如月さんがうずくまっていた。


如月さんの言っていることは全部嘘かもしれない。私が戻るように嘘を言っているだけかもしれない。信じちゃいけない。




だけど―――




1人になるということが本当は寂しいのは私が1番よく分かってる。


「如月さん……。」
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