人間オークション       ~100億の絆~
「……おかえりなさいませ、且功様。それと、命(みこと)様。」
「咲月、お前の態度に関しては文句は言わないが命(みこと)には謝れ。お前の言葉で命(みこと)は傷ついた。」

「……申し訳…ありませんでした…。」

「命(みこと)、何を食べたい?」
「食べたいもの……。」


そもそもこの家にくるまで食事なんて簡単にとれるものじゃなかったし、選べるものじゃなかった。食べ物にありつければ幸せで、なければ諦めて寝るだけ。


「どうした?好きなものでもいい、食べてみたいものでもいい。言ってみろ。」

「い、いらない……。」
「は……?」

「食べ物って、当たり前に食べられるものじゃないんだよ。お金と一緒でとても大切なものなの。自分の好き勝手で選んでいいものじゃない。」
「それもお前の貧乏言葉か?」

「貧乏言葉ってなによ!」

「お前がいうことは面白いから記録に残すことにした。残念ながら僕には理解できない言葉だから貧乏言葉と呼んでいる。」


さっき、如月さんのことを信じた自分が馬鹿みたいに思えてきた。この人はどこか寂しそうで寄り添ってあげたいなんて、思っちゃったけど、結局人のことを見下してて偉そうなことしか言えない男なんだ。

「咲月さんも嫌いだけど、如月さんはもっと嫌い!もう部屋に戻る!」
「おい、待て……。」
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