人間オークション       ~100億の絆~
今日の夜ご飯はハンバーグ!咲月さんに教えてもらった中で私が一番大好きな料理。


「命(みこと)、自分のだけ大きく作るなよ?」
「さすがにそんなことはしないよ!でもおかわりしてもいい?」

「お代わりの分もちゃんと作るなら。」


不思議なもので私は一度覚えたことはずっと忘れないタイプらしい。料理の手順をすぐに覚えたことは咲月さんも驚いていた。

「命(みこと)。」
「なに?」

「例えばの話だけど、明らかに自分よりも強い奴を相手にしたら命(みこと)は戦うか?それとも逃げるか?」
「なに、そのクイズ。」

「例えばの話だ。思うことを答えろ。」


「強いんだと最初は怖いかもしれないけど、私だったら正面から戦いに行くかな。逃げるなんて絶対にしたくないし、私は命(みこと)だから。命(いのち)ある限りは戦いたいし向き合いたい。戦わないで逃げて後悔したくないもん!」

「やっぱりそうだよな。」

「咲月さん、誰かと戦うの?」
「……まあね。どこかのお嬢さんのために。」




この頃咲月さんはどこか思いつめてるような顔をすることがある。そんなにお仕事で疲れてるのかな…?


「俺は元気だ、大丈夫。もう焼くから肉の形整えておけよ。」
「うん!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いただきますの言葉と同時に食べ始める。やっぱり自分で作ると美味しく感じるな。

「命(みこと)、食べこぼしあるぞ。」
「あ、ごめんなさい……。」
「そんなに焦って食べなくていい。ゆっくり味わって食べろ。」



且功もよほど疲れているのかあまり顔色がよくない。2人とも大丈夫かな……



「且功も咲月さんもたまには休んだら…?休むことも大切だよ?」
「いや、いい。今はやるべきことが山積みなんだ。それにもうすぐ―」



ジリリリリリリン




且功の声に重なるように家の電話が鳴った。且功も咲月さんも驚いた顔をしている。



「はい、如月です。その節はどうも……え、命(みこと)ですか…?はい、え……?」



電話をとった咲月さんが驚いた顔をして話している。それに今、命(みこと)って言われた気が……



「わかりました、本人にも伝えて折り返しご連絡しますね。」



電話を切るとなにかを考えるように咲月さんが頭を抱えている。そんなに大事な電話だったのかな…?



「咲月、どうした?」
「いや、神無月家からの電話だったんだけど…。」
「ああ、麗亜が来たから挨拶の電話か……。」


「いや、それが……命(みこと)を家に招待したいって言われたんだ。」
「麗亜がか?」

「そこまでは分からないけど、今日の午後からでもいらしてくださいってさ。」

「ずいぶんと急だな。」





私が…麗亜さんのお家に…?遊びに行っていいってことかな?



「私、行きたい!」



きっと麗亜さんが私と会いたいって思ってくれたんだ!


「いや、今はさすがに……。」
「ダメなの…?」

「いや……。」

「命(みこと)、且功と行ってきなよ。もし何かあっても且功がいればなんとかなることもあると思う。」
< 52 / 113 >

この作品をシェア

pagetop