Rhapsody in Love 〜二人の休日〜


でも、恋愛において、〝近くて遠い〟というのは、想いを強固にする大事なエッセンスのようなものだ。思い通りにならない状況は、諦めるどころか想いを確かなものにしてくれる。


それは、みのりと遼太郎も同じだった。近くにいるのに、遠かった。
毎日、すごく近くにいるのに、恋人となるにはとてつもなく遠い道で、目的地さえも見えなくて……。

遼太郎が笑ったり、遼太郎の声を聞いたり、向かいの校舎に小さな姿を見つけたり……。毎日遼太郎に会うたび、とても切なくて切なくて心が悲鳴を上げているのに、好きでいることをやめられなかった。切なくて泣くたびに、やっぱり本当に心の底から好きなんだと確信した。


今も、そんな風に遼太郎を思い出すだけで、みのりの心は震えてしまう。何をしてても、他のことを考えてても、最後には遼太郎のことを考えてしまう。甘く切ない感覚が体の中に充満して、胸が張り裂けそうになる。


みのりは、机に腕をついて大きく息を吐き、気持ちを落ち着けようとした。けれども、うまくいくはずがない。取り立ててする仕事がないので、遼太郎のことばかり考えてしまう。

みのりはもう我慢ができそうになかった。
だって、いつもは遠くにいる遼太郎が、今はみのりのアパートで待っててくれているのだから……!


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