素敵後輩の隠し事





私の嫌いなものは、ガラの悪い人、品のない人。

高校時代に思い出したくもない経験をした。

それで逃げるように大学に入ったのだが、本当に逃げることしか考えなかった私は失敗した。

何気なく得意だった数学と物理で受験して、工学部に行ってしまったのだ。

そのままあれよあれよと就職して、今はとある家電メーカーの技術職なんかをしている。

周りを見回せば、男、男、男。

だけど、私の嫌いなタイプのガラの悪い男がいないことが救いだった。




新しく異動してきた城内君も、例に漏れずちゃんとした男性だ。

白いシャツの上に会社の作業着を羽織り、ごく普通の黒い髪。

ちゃんとしたごく普通の人なんだけど、私とは違ってネアカだということはよく分かった。

だって、異動してきた早々周りの人に話しかけまくって、すっかりみんなの輪の中に入っている。

私はいまだに男性社会だからと壁を作っているのに。
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