Cherry Blossoms〜いのちのかたち〜
一花がそう言い、桜士は素早く赤ちゃんから離れる。AEDのボタンが押され、赤ちゃんの体がピクリと動いた。だが、まだ赤ちゃんの心臓は動いていない。

「お願いです……赤ちゃんを……」

顔を真っ青にしながら紅子は懇願するように言う。アドレナリンを赤ちゃんに投与した後、モニカは紅子に笑いかけた。

「大丈夫、赤ちゃんのことは任せてください。今はご自分のことを考えて」

紅子からは少量ながら出血がある。このままでは危険だ。

「一花、Mr.本田、赤ちゃんのことを頼む!」

「了解!」

モニカは紅子の処置に回り、桜士と一花は赤ちゃんの心肺蘇生を続ける。三人の顔は真剣そのものだった。

「頑張って!あなたのお母さんは、あなたに会うのをすごく楽しみにしてるのよ!」

一花が胸骨圧迫をしながら言う。それに釣られるように、桜士も赤ちゃんに声をかけていた。

「頑張れ!絶対に死なせたりしない!生きて幸せになってほしいんだ!」
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