Will you marry me?  〜エリート建築士は策士な旦那様でした〜
出来上がったパスタを前に、テーブルを挟んで向かい合って私たちは座った。

「「いただきます」」

一緒に作ったパスタはとても美味しくて、流れるジャスがゆったりとした雰囲気を作っている。

「それで」

少し食べ進めた後、フォークとスプーンを置いて謙太郎さんが私をまっすぐに見た。

今日、初めて見る真剣な瞳に、私もごくりと唾を呑み込んで言葉を待つ。

「結婚、してくれるか?」

単刀直入な言葉に、瞬きも忘れて彼の視線を外せない。

「妹ではなく私でいいんですか?」

「ああ。菜々がいい」

それは、私の方が家政婦向きだからですよね? そう聞くことが怖くて言葉にできない。

「メリットありませんよね?」

「親からずっと結婚を勧められていた。だからちょうどよかった」

「そうですか」

「沙月亭の仕事も受けるから。それならあの、当主も納得するだろう?」

それはもちろんだ。そのために瑠菜すらさしだそうとした父だ。

「私たち、斎藤家にとっては向井家とのつながりは、喉から手が出るほど欲しいものです。なので、私には……」
< 42 / 83 >

この作品をシェア

pagetop