神様、僕に妹を下さい

Act.080 サイド皇紀(こうき)

 まったく相変わらず、かわいいなぁ

 壁とベットに挟まれて、顔の表情が微妙に変形して小動物みたいだ
 このまま・・ずっと住み着いてくれたら、一生可愛がってやるのに

 ・・・ておい、オレの欲望はともかく、この状況を何とかしなくては

 「晶、おい、晶」

 『じゅる』

 熟睡してやがる・・。しかもさっきから『じゅる』っていうのは、晶のヨダレのすする音かよ

 「まいったなぁ」
 触れてしまったら自分がどんな行動に出てしまうか自信がなかった
 
 まったく、オレから近づかない様にしているっていうのに、なんでお前から寄ってくるんだよ

 「どういうつもりなんだ?答えろよ、晶」

 「zzzz」

 返答なし・・と

 「はぁ、どうなっても知らないからな」

 両脇はまったく隙間がないため、晶の頭から手を差し込みグイッと背中を押して持ち上げると、晶の右腕がベットの上に出てきた

 「よ・・っしょ」

 右脇に手を入れて、反対の手を晶の腰にまわす。一呼吸おいて、一気に隙間からベットの上に引きずり出した

 「はぁ、はぁ」

 いくら晶が軽くても、眠っていたら普段より重い

 晶は隙間から出た事が理解してないらしく、猫の様に丸くなって眠っていた

 「あ・き・ら」

 晶の頭を左腕に乗せ腕枕をし、右手で柔らかい髪をなでる

 「ふにっつ」
 晶の手のひらが胸に当たり、そこで自分が上半身裸だと気付いた
 晶の体温が直接伝わってくる

 「どうなっても知らないって言ったよな」

 晶の小さな手の指に自分の指を絡ませた

 「いひゃい」
 晶は小さく叫ぶと、瞼をピクッと痙攣させた

 痛いって・・・軽く手を握っただけだぞ
 
 温かいというか熱い!?晶の手のひらがいつもより熱を持っているのに気付く
 熱でもあるのか?額に手をあてるが、熱は感じられない

 「晶、ちょっとごめんな」
 晶がまぶしくない様に瞼に掌を乗せ、枕元のライトを点けた

 「お前・・手」
 痛いはずだ。晶の掌に数箇所火傷の水ぶくれと、包丁で切ったのだろう切り傷が付いていた

 「きれいな手なのに・・」
 こんなになるまで、慣れない料理なんてしなくていいのに
 オレのために傷つくなよ

 溜息と
 自分の愚かさに気付く
 
 掌にだけライトを向けると、ゆっくり手当てを始めた
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