私がこの世で一番大好きな人
 少しの間無言で私のことを抱きしめると、今度は私の肩を掴んで私の顔を見る。


「リーベ大丈夫だった? どこか痛むところとかない? 酷い目にあってない?」

「大丈夫だよ。リュカのおかげで、こうして元気よ。本当にありがとう。あなたがいなかったら、私まだあの部屋にいた。あの男に暴力奮われてた。助けてくれてありがとう」


 涙目で言う私を、また抱きしめてくる。
 私も彼の背中に手を回す。


「あのお二人さーん、俺もいるんだけど?」


 私と反対の方にいたイアンさんの声が聞こえ、ぱっ、と彼から離れる。
 リュカが目覚めたことが嬉しくて、彼の存在を忘れていた。

 彼は残念そうに見てくるけど、人前で抱きあってるのは少し恥ずかしい。


「お前もいたのか」

「いたのかって酷いな。俺もその子のこと助けるのに一役買ったのに」

「ああ、それは本当に感謝してる。ありがとう」


 イアンさんと話すリュカは、私が知っている彼とは少し違う。

 私と話す時よりも少しだけ素っ気ない気がする。
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