推し一筋なので彼氏はいりません
《菅野愛衣side》
ふたりで話し合った結果、今日は映画館に来た。
丁度私がみたい作品があって、それならその作品を観ようということで、先輩に合わせてもらった。
というか、今まで合わせてもらった事しかない……?
「今度は先輩の行きたいとこ行きましょう!」
「俺は菅野さんと一緒ならどこでも行きたいですよ。」
「そういう事じゃなくて……。
好きなこととか場所とかないんですか?」
「好き、か。考えたことなかったです。」
「えぇ!?休みの日とか何してるんですか?」
「んー、勉強?」
「……すごいですね。」
勉強なんて私が一番しないことだ。
やっぱり特進科のエリートはすごいな。
「それ以外にすることが思いつかないだけです。」
「だとしたらもっとすごいですよ。」
「そうですか?」
「はい。
あ、今日も勉強したかったとかじゃないですか?大丈夫?」
「大丈夫です。
今日は菅野さんと出かけるのを楽しみにしてましたよ。」
「そうなんですか?」
「そりゃあそうですよ。
そもそも俺から誘ったんですよ?楽しみじゃないわけないですよ。」
「それもそうか。」
「映画の時は何か買う派ですか?」
「いえ。私は映画に集中したいので何も買わないですね。」
「じゃあ俺も菅野さん流でいきます。」
「買ってもいいんですよ?」
「いいんです。菅野さんと同じ楽しみ方したいから。」
「そうですか。」
「はい、そうです。」