完璧生徒会長はとろける甘さの恋を描きたい
【第3章】
○2話の続きのシーン

千和「……へ?」
<見つめて言われて、変な顔と声>

晴陽「聞こえなかったのか。彼女になれって言ったんだけど」
<ちょっとムッとする>

千和「え、えっと、どういう意味でしょう?」
<動揺、変な顔>

晴陽「どういうって……お前、鈍い?」
<呆れる>

千和「し、失礼な! ……っ!」
<ムッとして言い返そうとするが、晴陽が不意に距離を詰めて、息を呑む>

晴陽「こういう……ことをする関係、って言わないとわかんない?」
<キス手前の距離で、囁くように言う>

千和「ひゃぁぁ! ちょ、わ、わかりますよそのくらい!」
<真っ赤になって動揺>
<ばっと顔をそらす>

晴陽「あっそ。残念」
<軽く言って、あっさり顔を引く>

千和(はぁ……いちいち距離が近いよぅ……)
<赤くなった頬を押さえて動揺している>

千和(なんなのこのひと……)

晴陽「ま、わかるならいいよな」
<改めて向き直って、しれっと>

千和「いやいやいや!? 良くないですよ!? 二時間くらい前に会ったばっかりなのに、なんで付き合うことに!?」
<全力で突っ込み>

晴陽「……会ったばっか?」
<不審そう>

千和「? はい。あ、確かに朝礼とかではお見掛けしてましたけど」
<きょとんとし、思いついて言い直す>

晴陽「そうじゃねぇ。……はぁ。会ったばっかって思うならそれでいいよ」
<呆れた声のあと、がっかりしたという様子>

千和「え……」
<止まってしまう>

千和(なにかあるのかな)
<内心、考えるが思いつかない>

千和(でも「忘れてるようです」って言うのは失礼だよね……)

晴陽「彼女になって、してほしいことがあるって言ったろ」
<改めて話を戻す>

千和「あ……はい。そういうことですか? やってほしい仕事って」
<気を取り直して、答える>

晴陽「そう。生徒会役員兼俺の彼女としてな」
<しれっと>

千和(わかるようなわからないような……)
<内心、悩む>

晴陽「『きみここ』は胸キュン少女漫画だろ」
<説明をはじめる>

千和「! はい! それはもちろん! 最高に胸キュ……」
<ぱっと明るくなって、うっとり語りはじめてしまう>

晴陽「語れとは言ってない」
<つれない>

千和「じゃあなんなんですかぁ」
<ぷーっと膨れる>

晴陽「胸キュン少女漫画なのに、あれ……あー、ちょっと言いづらいな」
<髪に手をやり、ためらう>

千和「なにがです?」

晴陽「あー……、あれ、俺が今まで趣味で見てきた少女漫画とかドラマとかの知識と、あと、俺自身のイメージなんだよ」
<頬をほんのり染めて、非常に言いづらそうに>

千和「え! それってつまり、相坂先輩はああいう恋に憧……」
<びっくりしてしまう>

晴陽「うるせぇな。そう言われるから正体バレるの嫌だったんだよ」
<ぎろっと千和を睨みつけ、恨めしそうに>

千和「う、すみません……」
<ひるんで、声のトーンが落ちる>

千和(そうだよね……経緯はどうあれ、秘密にしたいことを暴いちゃったんだ)
<反省>

千和(悪いことだった……)

晴陽「はぁ……、まぁ、そういうことだから。お前が彼女になったら変わるだろ」
<大きくため息をついてから、気を取り直すように>

千和「え、変わりますかね? なにがですか?」
<きょとんと>

晴陽「お前……ほんとに鈍いな?」
<呆れたようなジト目>

千和「相坂先輩の言い方が遠回しなんです!」
<ムッとして言い返す>

晴陽「へぇ、言うようになってきたじゃん」
<悪い笑み>

千和(やばい、失礼だったかな!?)
<やばいという顔>

晴陽「ま、そのくらい自己主張するほうがお前らし……あ、いや」
<懐かしそうな目になって言いかけて、切る>

千和(また……。なんなんだろう?)

晴陽「ごほん。つまりだ。お前が彼女になって、恋人同士らしいことをしたら、恋の描写によりリアリティが出る」
<誤魔化すように咳をしてから、説明>

千和「り、リアリティっていうのはわかりますけど、私じゃなくて良くないですか?」
<動揺>

晴陽「秘密を知ってるお前以外に適任がいると思うか?」
<ジト目>

千和「う……、い、いない……かもしれませんね」
<しぶしぶ認める>

晴陽「そうだろ。それにお前、俺が彼氏じゃ不満ってか?」
<ちょっと不安げな目になって、距離を詰める>

千和「え!」
<近い距離で聞かれて赤くなる>

晴陽「どうなんだ。俺じゃ不足?」
<しおらしく、不安げ>

千和「わ、わ!」
<心臓がバクバクして真っ赤になってしまう>

晴陽「聞いてるのにな……」
<悲しそう>

千和「ふ、不足なわけないでしょう!」
<焦ってなんとか言う>

千和(学園イチのモテ男子を不足なんて言えるわけないよ!?)
<非常に動揺>

晴陽「……そう。ありがと」
<作戦成功、という顔でにやっと笑う>

千和(はっ! やばい! これは受け入れるようなことだったんじゃ!?)
<やっと思い当たって、やばいという顔>

晴陽「よし。じゃ、成立な」
<にっと笑い、顔を引く>

千和「ええ……相坂先輩、横暴です……」
<距離が離れてほっとするが、がっくりする>

晴陽「失礼な。それと、付き合うんだから名前で呼べ」
<ジト目、きっぱりと>

千和「うう……、ええと……、はるひ、さん?」
<恥ずかしそうに、ためらいながら>

晴陽「かしこまったのは好きじゃない。呼び捨てでいい」
<ずばっと>

千和「うっ……、は、はる、ひ?」
<詰まり、おずおずと>

晴陽「それでいい。俺も千和って呼ぶから」
<やわらかに笑う>

○内心、大騒ぎしている千和

千和(あああ! なんで私が相坂先輩を名前で呼ぶことに!?)

千和(ただ『きみここ』を読んでときめいてただけなのに……!)

○翌朝、千和の家
○玄関(内側)

千和「ふぁぁ……」
<登校の支度を整えて、あくびをしている>
<玄関で靴を履く>

千和(よく眠れなかった……)
<クマができている目元>

千和(だって仕方ないじゃん。相坂先……晴陽と付き合うようになっちゃったなんて)

千和(実は夢なんじゃないかなぁ)

○ガチャ(玄関を開ける)

千和「いってきまー……」
<外へ一歩踏み出す>

晴陽「おはよう、千和」
<爽やかな笑みで、晴陽が立っていた>

千和「……えっ」
<固まる>

晴陽「結構遅いんだな。早く行くぞ」
<爽やかな笑み、千和をうながす>

千和「え、え!? どうしてこんなところに!?」
<大パニック>

晴陽「迎えに来たんだけど……なにかおかしい?」
<きょとんとする>

千和「い、いや、そのですね」
<しどろもどろ>

千和母「千和! お弁当忘れてるわよ! ……あらっ、どなた?」
<家の中から千和母が慌ててやってくる>
<晴陽に気付いて、目を丸くする>

千和「!!」
<ぎくっとする>

晴陽「お母様ですか。俺、今度千和さんとお付き合いさせていただくことになった、相坂 晴陽といいます。一応、生徒会長を務めておりまして」
<爽やかな笑みで、自己紹介>

千和母「まぁ……! なんて素敵な方!」
<口元に手を当てて、きらきら>

千和(う、嘘……これって……)
<内心、やばいという顔>

晴陽「まだ交際して日が浅いので、色々ご心配もおかけするかと思いますが……」
<爽やかな様子で挨拶している>

千和(日が浅いどころか、一日も経ってないよ!)
<内心でツッコんでしまう>

千和母「いえ! いえ! 嫌だわ千和、こんな素敵な彼氏さんができたなんて、どうして黙ってたの」
<首を振り、千和に向かって、少し恨めしげに>

千和「あはは……、ちょっとね……」
<笑うしかない>

晴陽「これからよろしくお願いしますね。さ、千和。もう行かないと遅刻するよ」
<爽やかに言い、千和の肩に手を回す>

千和「う、うん」
<どきっとしつつも、されるがままになる>

千和母「こちらこそ、ふつつかな娘ですがよろしくお願いします。いってらっしゃい、千和」
<にこやかに言い、千和にお弁当を渡す>

千和「うん……行ってきます……」
<力なく受け取り、挨拶>

○連れ立って登校の様子

交際だけではなく……。
交際半日にして、母公認になってしまいました……。

○学校の廊下

晴陽「千和は2-Bだったな」
<千和の肩を抱いて廊下を歩いていく>

千和「は、はい。いいんですか? 教室まで……」
<慣れずに戸惑いながら一緒に歩く>

晴陽「なに言ってるんだ。お、着いたぞ」

○2-Bの教室

千和「じゃあ、ここで……送っていただいてありが……」
<晴陽を振り向いてお礼を言いかける>

芽生「おはよう千和! ……えっ」
<そこへ芽生が近寄ってきたが、ハッとする>

千和「あ」
<晴陽に肩を抱かれているところを見られて固まる>

晴陽「おう、柏樹。おはよう」
<にこやかに挨拶>

芽生「え、え、どういう……こと?」
<おろおろ>

千和「え、えっとね! これは」
<しどろもどろで説明しようとする>

○ポンッ(千和の肩をしっかり抱く)

晴陽「俺と千和。付き合うことになったからよろしくな」
<にこやかな笑顔で宣言>

芽生、他の生徒「えええ……!?」
<どよめく芽生とクラス内>
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