捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 確かに竜人のパワーは半端なくて、アレスがいかに上手く加減してくれているかがよくわかった。助けてくれたのは嬉しいけど、お客様に手荒なことはしてほしくない。

「アレス、もう大丈夫だから離してあげて!」
「……承知しました」
「はあああ! やっぱりロザリアちゃんは天使っ!! それ比べてコイツは……」
「父上。よっぽど母上に報告してほしいようだな?」
「申し訳ございませんでした」

 父上と呼ばれたお客様が深々とアレスに頭を下げている。

「この方はアレスのお父様なの?」
「はい、誠に残念ながらコレが父でございます」
「コレとかひどくない!?」
「うるさい、お嬢様に抱きついた虫ケラの分際で」
「だってー、アレスがやっと見つけた番だと思ったら、可愛いがすぎてたまらなくなったんだよ」
「可愛いがすぎるに異論はないが、俺の番に二度と触るな」

 アレスは私を守るように後ろからガッチリとホールドしている。アレスのお父様ならちゃんと挨拶がしたいけど、この腕を振りほどけない。仕方なく言葉だけでも礼を尽くすことにした。

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