捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 現在は王太子妃が不在のためボクがすべて処理をしていた。でもふたり分の政務など完璧にこなせるわけもなく、後回しにしたものが山のように積もっている。しかもボクがひとりで進めた政策に対して各方面から意見書や苦情が届いていてその対応に追われていた。

 ボクの執務室は書類に埋もれ、事務官も増員しているが追いついていない。ロザリアがどの様に処理していたかもう知る術もなく、正直限界が近かった。だからハルクの提案に現状がマシになるとホッとしたのだ。



「ボニータ、どういうことだ? もう一度言ってくれないか?」
「こんな難しいお仕事は私には無理です! お腹に赤ちゃんもいるし、ゆったりと過ごしたいの! ウィル様の方で終わらせてください!」
「難しい……? ハルク、一体どんな仕事をボニータに渡したのだ?」
「手配したのは城内の陳情書です。城内で調整していただければほぼ終わるものばかりだったのですが……」

 確かにボニータの腹は大きくなってきていたが、頼んだ仕事は難しい内容ではない。要望を聞いて、必要なものを手配するだけだ。多少の調整はあるがボニータがボクの寵愛を受けていることは城の者は知っているし難しいことはないだろう。

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