捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 けれどもお会いする度にダメ出しをされてしまう。

「お前……もう少しマシなドレスはないのか? ただでさえ平凡な髪と瞳なのだから、もっとよく考えろ! 隣にいるボクの身にもなってくれ」
「申し訳ありません……」

 瞳に合わせたライトグリーンのドレスは地味だったのかと、次にお会いするときは柔らかいパステルイエローのドレスを身にまとった。もちろん仕立て屋のデザイナーにもお母様にも相談しながら用意した。

「うわ……今日はお前とお茶を飲むのは無理だ。そのドレスはまったく似合っていない。お前はもう帰れ。途中で具合が悪くなったと言っておく」
「申し訳ありません……そのように致します」

 派手な色はお好きでないことがわかったので、私に一番似合う深緑の落ち着いたドレスにしたらため息だけで何も言われなくなった。
 それからは似たようなデザインのものを選んでいる。

 それから半年後に夜会へ参加することになった。ウィルバート殿下の弟であるクライブ殿下の誕生日を祝うものだ。

「ふん、ドレスはまともでも装飾品に品がないな。伯爵家の娘なのになんと下品なことか」

 この日はドレスが落ち着いた色なので華やかさを出そうとエメラルドとダイヤモンドのアクセサリーをつけていた。前にこれより大きなアクセサリーをつけた令嬢を褒めていたから大丈夫かと思ったけどダメだったようだ。

< 13 / 239 >

この作品をシェア

pagetop