捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「ウィルバート殿下」

 灯りをつけたのは宰相だった。
 父上の信頼に応える臣下に自分が余計にみじめに感じて目を背ける。

「ウィルバート殿下。こちらの報告書をお持ちしました。ボニータやハルク、ゴードンらの供述と決定した処分をまとめてあります」

 そっと執務机の上に分厚い書類の束が置かれた。こんな束になるほど何を語ったというのか。

「それでは、これをもって私は失礼いたします。今までお世話になりました」
「何……どういうことだ?」
「私はこの件の後片付けを最後に退任いたします。陛下には既に許可をいただいております」
「そう、か……今までご苦労であった」

 それは初耳だった。
 後任にはすでに引き継ぎも済んでいて、このまま領地で隠居生活をするということだった。父上も長年の側近をなくしたのだと考えたら少しだけ落ち着いていく。こんなみっともないのは自分だけじゃないと思えたからだ。

「ウィルバート殿下。最後に私からひとつ申し上げます」

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