捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「待って!! 私、自分で片をつけたいの!」
「いや、ロザリアにそんなこと……」
「アレス、お願い。一発ぶち込まないと気が済まないわ」
「……なるほど、さすが俺のロザリアだ。この気の強さも愛しくてたまらない」
「アレス、結界も解いて。手出しは無用よ」
「わかった」

 アレスの結界を解いてもらいウィルバート殿下を魔道具で治療していく。勿体なかったけど、あとで文句を言われないように魔力回復の飲み薬まで与えた。何を勘違いしたのか「やはりボクのことが……」と呟いていたけど、サラッと無視しておく。

「ではウィルバート殿下。全快なさいましたね?」
「ああ! ロザリアのおかげでいつもより調子がいいくらいだ!」

 キラキラと輝くような笑顔を復活させたウィルバート殿下が、絶好調といった様子で胸を反らす。今までの流れでどうしてこうも自分の都合のいいように考えられるのか逆に知りたい。
 私は立ち上がりウィルバート殿下を見下ろして宣言する。


「それでは私との決闘を受けてくださいませ」


 お父様もお母様も無事ならば、私はもう我慢する必要がない。
 言葉の通じない相手なら、力でねじ伏せる。


 このまま何もなかったように許すなんて絶対にしないわ。
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