捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「馬鹿になどしておりません。万が一にも私が負けたらウィルバート殿下の好きにして構いませんわ」
「ならばボクが勝ったら黙って妻になると言うのか!?」

 好きにして構わない、の部分を拾い上げて食いついてきたけど、『私が負けたら』という条件は届いているのかしら?
 ちょっと……そろそろ会話をするのもツラいわね。ああ、もう何年も事務的な会話しかしていなかったから忘れていたわ。早々に話を運びましょう。精神がガリガリと削られるわ。

「そうですわね。万が一にも勝てたらの話ですが」
「本当だな!? よし、それなら魔法誓約を結んだら勝負してやる!」
「ええ、もちろん構いませんわ」

 私は艶然と微笑んで過去最高の速さで魔法誓約を交わした。

「それではウィルバート殿下が勝てば私はあなたの妻に戻ります。私が勝てばこちらで用意した魔法誓約書にサインするということでよろしいですわね?」
「ああ!問題ない! 早くはじめるぞ!」
「ええ、はじめましょう」

 私は手持ちの小型ナイフでドレスのサイドを裂いて、右足の太ももに巻き付けていたホルダーから魔銃を取り出した。はしたない格好になってしまったが、決闘するにはちょうどよい。
 アレスが少し不機嫌になってしまったけど、私の戦闘スタイルだとこれが最適なのだ。

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