捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました

33話 互いに願いからこそ


「父上! 母上! 姉上もご無事で……!!」
「セシリオ、心配かけてごめんなさいね。アレスと竜王様たちに助けていただいたの」
「セシリオもよく耐え切ったわ、さすが私たちの自慢の息子よ」
「ブレスにも苦労をかけたな。セシリオを支えてくれて本当にありがとう」

 転移魔法でスレイド伯爵家の前にあらわれたら、バタバタと大慌てでセシリオが出迎えてくれた。ブレスをはじめとした使用人たちも、私たちの無事を喜んでくれている。

「竜王様、アレス殿下、本当に感謝してもしきれません。ロザリアだけでなく、私たちまで救ってくださって……まずは我が屋敷でごゆるりとお身体を休めてください。すぐに準備いたします」
「本当にいいんだ!? いやあ、言ってみるもんだね!」

 すっかりいつもの状態に戻った竜王様の言葉にアレスが素早く反応する。

「は? 父上、スレイド伯爵に何を言ったんだ……?」
「え、助けに行ったときにお礼してくれるって言うから、今晩泊めてって頼んだんだよ。もうさー、ふかふかのベッドで寝たかったんだよねえ」
「はあ!? そんなもの転移魔法使えばすぐに(いえ)に帰れるだろ!」
「いや、アレスこそ何言ってんの? ロザリアちゃんとのことをご報告しないとダメでしょう? こういうのは最初が肝心なんだよ?」
「いや、それなら俺ひとりで……」
「ダーメ、僕も付き添うよ。これも親の務めだし」
「くっ……」

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