捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 軽いキスを落としたアレスはその肉体美を晒しながら部屋を後にする。アレスの芸術的な美しさに見惚れていたけど、ハッと我に返り簡単に身支度を整えようとした。

「んー……あれ? 嘘、まさか!」

 ない。着るものが、ない。
 確か結婚式の日に脱がされたウェディングドレスは、翌朝には片づけられていた。それから気絶している間に入浴などの世話もアレスがしてくれたので、服を着る機会がなかった。

 散々愛し合っているからアレスにはすべてを晒け出しているけど、だからと言って裸で歩き回るほど羞恥心を捨てたわけではない。そもそも王城なら侍女やメイドがいるはずだが、まるで人の気配がしない。

「ええと、私の衣装は……王太子妃の部屋にあるのよね。うーん、呼び出すベルもないし、自分で取りに行くしかなさそう」

 何か羽織るものでもないかと探していたら、アレスの脱ぎっぱなしのシャツが出てきた。私には大きいけど今はそれがちょうどいい。
 素肌にシャツを羽織るとアレスの匂いがして、クラクラしそうになる。

「はっ、しっかりしないと! とにかく何かワンピースでも着ないことには食事もできないわ」

 なんとか自分を取り戻して、ヨタヨタと歩いて私の私室につながる扉に手をかけようとした。

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