捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「お嬢様、こちらがご希望されていたデータでございます」
「ありがとう。んー……やっぱり精度にムラがあるわね。どうしてかしら……?」
「概ね同じ状況で試してもらったので、原因は他の要素かと思われます」
「うーん、選定項目が足りないのかな……ちょっと考えてみるわ」

 竜王様からの依頼内容は『まだ見ぬ番を探す魔道具』だ。
 番を探す旅に出る竜人たちには必須アイテムとなる。今日は王城の研究室で魔道具の開発をしていた。私も竜人の仲間入りをしたので、今ならできるかもしれないと依頼を受けた。

 前に作った魔道具をさらに発展させて、己の唯一を見つけ出せるようにするのが最終目標だ。竜王様にも助けてもらってさまざまな番の夫婦のデータを集めてもらっている。

 この心の奥底から湧きあがる渇望と愛欲と独占欲は、魂を揺さぶるほど激しく深い。たまに自分の気持ちに翻弄されそうになるけど、そんな私もアレスは受け止めてくれる。
 そして満ち足りた幸せを存分に味わうのだ。
 こんな幸せを私を受け入れてくれた、この国のみんなに感じてもらいたい。

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