捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました

5話 愛妾が懐妊したので離縁されました


「ロザリア、聞いてくれ。大事な話がある」
「ウィルバート様。突然いかがなさったのですか? 先触れを出していただけたら、準備してお待ちしておりましたのに」

 数ヶ月ぶりに見たウィルバート様は相変わらずキラキラと輝いていた。私の執務室に直々に足を運ぶくらいだから、余程のことなのだろうとアレスにお茶の用意を頼む。


「単刀直入に言おう。ボニータが懐妊した」


 ……ボニータが懐妊した? 聞き間違いかしら?
 私の記憶違いでなければ、愛妾のボニータとは子を作らないと魔法誓約書まで用意したはずだけれど。
 ああ、もしかして今日が六度目の結婚記念日だからサプライズ……ではなさそうね。そもそもそんな些細なことを覚えているのは私とアレスだけだもの。

「……もう一度仰って下さいますか?」

 やはり聞き間違えたかと念のため確認してみる。

「だからボニータが懐妊したのだ。確かお前とは魔法を使って誓約書を交わしていたはずだな?」
「はい、魔法誓約で書類を用意いたしました。……あの、本当にボニータが懐妊したのですか?」
「なんだ、ボニータを疑うのか!? ちゃんと王宮医師にも見てもらって間違いはない! それよりも誓約書を早く出さないか、気が利かん奴だな」

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