捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
「はい。二週間前にボニータ様が王宮医師に診察を受けたと聞き調べはついておりました」
「どうして……報告してくれなかったの?」

 せめて心の準備をしたかった。できるならどうにかして実家にも連絡を入れておきたかった。

「お嬢様を私のものにすると決めたからです」

 そう言ってアレスが私の前にひざまずく。真っ直ぐに私を見つめて、今まで決して見せなかった狂熱が夜空の瞳に揺れている。

「お嬢様は私の番です」
「えっ……?」
「すべてを諦めたように生きるお嬢様を見ていられませんでした。卑怯な真似をしたと自覚はあります。ですが、こうでもしないと王家の呪縛からお嬢様を解放することができませんでした」

 番? 私がアレスの番? だからあの場所から私を解放するためにあえて口を閉ざしたの?
 待って、番って……唯一無二の伴侶とか言ってなかった!?

「スレイド伯爵の許可も得たので、やっと何にも邪魔されず気持ちが伝えられます」

 そういえばお父様はアレスに許可を出して任せていたけど、伯爵家を出て私を守れって意味ではなかったの!?

 ゴクリと喉を鳴らすけど、言葉が出てこない。こんなアレスを見たことがない。愛しい気持ちを隠すことなく、うっとりと私を見上げてくる。
 美形なだけに破壊力が半端ない。そこには私の知っているアレスはどこにもいなかった。

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