幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
マグノリアの貴族の子どもたちは
13歳までは実家で家庭教師について勉強するのが一般的で、
13歳になると男子は男子学院へ、女子は女子学院へと入学する。
学院は男女ともに5年制なのだが、
男子学院だけ選抜試験をパスすればさらに2年の専門教育を受けることが出来た。

ギュンターは父の跡を継ぐために経済・金融について学ぶべく、
選抜試験を受験。
もともと学年トップの成績だったギュンターはこの選抜試験も難なくクリアした。
学院から届いた合格通知を母に渡そうとリビングのドアノブに手をかける。
すると、母と母の友人たちの話し声が聞こえてきた。

「伯爵夫人のところのご子息、ギュンターと言いましたか、相変わらずご優秀なんですって?選抜試験もお受けになったんでしょう?」
「とんでもございませんわ。でも、あの子には勉強だけは手を抜くなと厳しく言い聞かせてますの。じゃないと、あの子に投資したお金が回収できませんでしょう?」
「田舎の貧乏男爵の息子だったんですよね?」
「えぇ、もとはね。頭の良い天才児がいるっていう話を偶然耳にしたので引き取ることにしましたの。私たちに子が出来なかったのは辛かったけれど、代わりに天才児が来てくれて助かりました。」
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