捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「…………」

 そんなの言われるまでもなくわかっている。魔道具を開発したところで店に置いてもらわなければ、欲しい人には届かない。ラクテウスで学んだのは、欲しい人に商品があると知ってもらわないと売ることすらできないということだ。
 だから私はラクテウス王国のためにも、販路を拡大しようと動いてきた。

「ロザリアさん、オレはチャンスがほしいんだ。確かにあんたは結婚しているが、なにもしないであきらめられない。せめてオレという男を見てから、ちゃんと判断してほしい」

 これはどう考えても私に選択肢がない。今ある素材で魔道具の開発ができたとしても、ここで断ればその先の未来がないのだ。
 だからといって、そのまま素直にお願いするのも危険な気がする。ここはしっかりと確約をもらった方がいいだろう。

「ではチャンスを与えた上で私の気持ちが変わらなければ、キッパリとあきらめてくださいますか?」
「ああ、その時はもちろん、キッパリとあきらめる。それにオレが商会長のうちはロザリアさんの魔道具を最優先で取り扱うとお約束する」
「わかりました。それでお願いします」

 どうしてこうなってしまうのか。アレスに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
 我慢を強いるアレスに、私はなにができるのだろう。



 その答えは、その日の夜に明かされた。
 普段なら絶対に聞くことがないけれど、縋るようにお願いしてきたアレスに(ほだ)され受け入れる。

 まさか兎族(茶兎)セットを身につけてくれと言われるなんて、こんなところで役に立つとは思わなかった。


< 111 / 200 >

この作品をシェア

pagetop