捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「ロザリアは俺の腕の中で眠っていたと思ったんだが、なぜこんな時間にあんなところで皇太子とふたりでいたんだ?」
「あ、それはね、ちょっと眠れなくて散歩に出たの」
「へえ、こんな夜更けにたったひとりで?」

 アレスの笑みが深くなる。どうしよう、これは相当怒っている。滅多に怒ることがないアレスが怒るとどうなるのか、それは嫉妬を煽った時の比ではない。

「アレスがぐっすり眠っていたから、起こすのも悪いと思って……」
「確かに今夜はいつもより深い眠りだったが」
「そうなの、それで散歩に出たら偶然ハイレット様に会っただけなのよ?」

 私は正直に起きた出来事を説明していく。なにひとつ嘘はついていない。誠実に真っ直ぐにアレスに伝えた。

「そうか……では眠れればいいんだな?」
「ええ、そうだけど……アレス!?」

 ギラリと夜空の瞳が光り、一瞬で視界は天井に変わる。
 アレスの彫刻のような美貌が私を見下ろしていて、その瞳にはありありと劣情が浮かんでいた。

「今夜は我慢するつもりだったが、こうすればいつもみたいにぐっすり眠れるだろう?」
「え! 大丈夫! もう眠れそう!」
「悪いな、俺が眠れないから付き合ってくれ」

 そう言って、結局のところいつもと同じようにアレスの愛を注がれた。
 この日、後悔先に立たずという言葉が深く深く身に染みたのだった。


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